「うまく吹かなきゃ」という思考の危険さ

こんにちは、石倉です。

ちょっと想像してみてほしいのですが、演奏会本番の日、しかも大事な場面での演奏する時って、どんな気持ちで臨んでいますか?

みんなで曲を演奏している。そして、周りの楽器の数が減ってきて、「さあこれから僕のソロだ!」という場面です。

こんなとき、どんな気持ちで演奏しますか?

つい「うまく吹かなきゃ」って考えません?

僕は今までよく考えていました。

ですが、この思考状態になった時に実際にうまくいくことって、あまりなかったんです。

目次

脳はそんなに万能じゃない

なぜうまくいかなかったのでしょうか。

その原因は、僕の思考のクセにありました。

「うまく吹かなきゃ」のあとに、「音を外さないように」とか「汚い音にならないように」とか、たくさんの否定語を使っていたのです。

「うまく吹かなきゃ」という言葉自体に「失敗しないように」という言葉が隠れているように感じます。

突然ですが、ここで少し試してみてほしいんです。以下、僕の指示に従ってみてください。

今から絶対に「レモン」のことは考えないで!

どうでしょうか。絶対に考えてはいけないと言われたのに、あの酸っぱいレモンが鮮明に思い浮かびませんでしたか?

このように、人の脳は「〇〇しないように」と思う時、その行動を無意識に考えてしまうのだそうです。

例えば、「音を外さないように」というのは、音を外している鮮明なイメージを、「汚い音にならないように」というのは、汚い音をそれぞれ考えてしまっています。

無意識に音を外すことなんて考えていれば、そりゃ体の動きも、音を外しやすい方向にいってしまいますよね。

〇〇しない→〇〇したい!へ

ここで提案したいのが、「〇〇しない」という思考から、「〇〇したい!」に変換することです。

〇〇したい!に変換することで、「本当にしたいと思っているイメージ」を鮮明に思い浮かべることができます。

楽器で例えると、

音を外さないように→〇〇な音を出したい

汚い音にならないように→〇〇な音色の音を出したい

という感じです。

自分が今音楽的にやりたいこと、それを思い浮かべることに集中する。

僕はこんな思考で演奏会に臨めるようになるまでだいぶかかりました。思考の癖は抜け出すのが大変で、気を抜くとすぐに昔の「うまく吹かなきゃ」が出てきてしまいます。

思考すらも「変えなきゃ」と思うのではなく、「変えて楽しく吹こう」にしていきました。

すると少しずつですが、何度か本番を繰り返すうちに、楽しく本番を終えられることが多くなっていったのです。

おわりに

思考を変えるだけで体の動きが変わっていくのは、とても不思議な感じがしますよね。

でも、思考と体は密接な関係があると、最近の研究でもわかってきました。

「うまく吹かなきゃ」という自分にプレッシャーのかかった思考をやめ、「〇〇のイメージが伝わるように〇〇して吹こう!」という思考になると、今より楽しく演奏できるようになっていきます。

それでは今日も楽しく練習していきましょう!

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この記事を書いた人

1999年、長野県出身。
ユーフォニアム奏者、作編曲家として活動中。

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