ユーフォニアムのリップスラー

「リップスラーは大事だよ!」「毎日やらないとだめだよ!」なんてよく言われるリップスラー。

僕もそれは知っていたのですが、「こんなのあんまり曲に出てこないし、できるようになってもなんか意味あるのかなあ」と適当にやっていた時期もあります。

適当にやってしまうと、なんだかできるようになった実感も湧きにくいのですが、しっかりやると驚くべき効果がたくさんあります。

高い音が当たりやすくなったり、低い音が出やすくなったり。その他にも音色のコントロールができるようになったり、音域が広がったりと、いい事ずくめのリップスラー。

仕組みをしっかりと知ることで、取り組みやすくなります。

目次

そもそもリップスラーとは

そもそもリップスラーとは、金管楽器特有の技術です。

金管楽器は運指が同じでも、異なる音がたくさん出ますよね。この異なる音をタンギングを使わずに滑らかに移動することをリップスラーといいます。

最初のリップスラー

まずタンギングをして吹きます。(以下の楽譜は一例です。リップスラーの練習は得意な音から始めることをおすすめします。)

次にリップスラーで吹いてみます。

このとき上の楽譜のようなイメージで、音と音の間にも音がグラデーションのようにあると想像して吹くと吹きやすいです。

リップスラーをうまく吹くためのポイントは主に2つあります。

息はずっと出したまま

息は音が変わるときもずっと出しっぱなしにします。

そうすることで音と音が滑らかに切り替わりやすいです。

最初のうちは、音と音が切り替わるときに一緒に息が止まってしまうことがよくありますが、自分の息がどうなっているのか、しっかりと確認しながらやることが大切です。

口を使うよりも舌を使うイメージで

「リップスラー」と聞くと、口を動かして音を変えるようなイメージがありますが、実は口は補助的な役割で、主に舌を使って行うとやりやすいことがあります。

舌を使って音を変えるのは、母音を使ってみましょう。

母音は「ア・イ・ウ・エ・オ」と5つあります。

この中で一番口の中が狭くなるのはどの母音でしょうか?

ぜひ自分でも声に出しながら確かめてほしいのですが、僕の場合は順番に並べると

狭い ←イ ウ エ ア オ→ 広い

になります。

これを楽譜に置き換えてみると、舌の使い方がわかりやすいです。

この母音をしゃべるような感覚で、リップスラーを演奏してみましょう。

リップスラーで母音を当てはめるときには、高い音を狭い母音に設定し、低い音を一つとなりの広くなる母音に設定すると、上手くいきやすいです。

もしイウが上手くいかない場合には、ウエで試してみましょう。

スムーズに移動できなかったら

もしある程度練習してみて、「音と音が上手く移動できない」と悩んでしまったら、以下の練習を試してみましょう。

半音階の練習

ずっと息を出したまま、口の動きを確認します。

このとき、通常のリップスラーで吹いたときの最後の「F」の音と、半音階でたどり着いた「F」の口の形が同じか確認してみてください。

通常のリップスラーの「F」の方が口が開いてしまっている場合、口を動かしすぎてしまっている可能性があります。

半音階でたどり着いた「F」と同じ口の形になるように、交互に練習してみましょう。

ハーフピストン

半音階の練習と確認することは同じですが、ここでは「ハーフピストン」を使ってみます。

ハーフピストンとは、ピストンを押しきらずに半分くらいまで押した状態で演奏することをいいます。

※楽譜ソフトの都合上、ポルタメントのport.と入っています。

最初に「B」の音を出したら、4拍かけてゆっくりと「F」の音を出します。

このとき、ハーフピストン中は音が出しにくく感じると思いますが、息はずっと出したままおこなってください。

慣れてきたら、段々とハーフピストンの時間を少なくしていき、通常のリップスラーの形にしていきます。

おわりに

リップスラーはたくさんの教本に書かれていますが、基礎の部分ができていないと、どこかでつまずいてしまいます。

リップスラーの練習は、そのままの形で曲の中で登場することは少ないですが、ちょっとしたフレーズが滑らかに吹けたり、音域が拡大したりと、曲が吹きやすくなること間違いなし!

ぜひ楽しみながら練習してみてください。

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この記事を書いた人

1999年、長野県出身。
ユーフォニアム奏者、作編曲家として活動中。

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