ユーフォニアムだとチューニングのBから1オクターブ下のBの音。
これより下の音をここでは「低い音」と表現したいと思います。
僕はどちらかというと高い音のほうが得意で、低い音はよく「つぶれている」「響きがない」と言われてしまい、ずっと悩んでいたことがあります。
ユーフォニアムは高い音もよく求められますが、低い音というのも結構楽譜には出てきますね。
今日はずっと低音が苦手だった僕が、効果の出た練習を紹介します。
目次
あたたかい息
「低音が上手く吹けない」という悩みを相談すると、よく「温かい息で吹くといいよ!」と言われたことはありませんか?僕はしょっちゅう言われていたのですが、どういう息なのかいまいちピンときませんでした。
音が出ない、ということはないのですが、音を言葉にしてみると
- 硬い
- 力が入ったような
- 生音
そんな音になってしまっていました。
このような音の原因はズバリ、息のスピードが音に合っていないということ。
僕の場合は、低音を吹く息のスピードにしては、強すぎる息のスピードで吹いてしまっていました。
高い音はこちらのハイトーンの出し方の記事で紹介したように、息のスピードを速くする必要があります。
低い音はこの逆です。
息が口から出ていき、ベルの先から出ていく。このときのベルまで息が到達するスピードをゆっくりにしてあげる感じです。これがいわゆる俗に言う「温かい息」になります。
唇の振動をゆっくりと
フリーバズってやったことありますか?
マウスピースを当てずに、口の力でバジングさせることです。
これ、速く唇を震わせるのはそこそこコツを掴めばできるのですが、ゆっくりとしたバジングってなかなか難易度が高いんです。
僕の場合、唇がパサパサしてしまい振動しなかったり、最初は勢いに任せてバジングできても続かなかったりと、できるようになるまでの期間が長すぎて、嫌になってしまいました。
しかし今考えると、このゆっくりとしたバジングの練習が低音苦手な石倉には一番効果がありました。
フリーバズの練習が難しい人は、マウスピースがある状態で練習しても良いと思います。
目指すはとにかくゆっくりとした息で、自分にとって低い音を安定してバジングすること。
最初のうちは、安定しなかったりバジングが途中で止まってしまったりすると思いますが、以下の2つのことに気をつけてやってみてください。
唇の両端をロックして、広いアパーチュアを作る
低い音は高い音と逆で、アパーチュアを広く作ってあげる必要があります。
上の図でいうと青色の部分、唇の両端をしっかりとロックして、赤色の部分は力を抜いてあげます。
このような力の入れ具合にすると、唇がゆっくりと振動しやすいです。
アパーチュアはふんわりと、でも密着
アパーチュアの部分は力をいれず、ふんわりとさせます。
このとき注意してほしいのが上唇と下唇はしっかりと密着させるということ。
低い音はゆっくりとした息なので、唇が振動しにくいです。
ゆったりとした息でも唇がしっかりと振動するように、上唇と下唇をぴったりと密着させてください。
もし、低音を吹くとパサパサした音になってしまったり、出だしがかすれる場合には、唇同士がしっかりと密着していない可能性があります。
楽器のツボ
低い音を出せはするんだけれど、なんだか音量が出せない…。
そんなときはもしかしたら楽器のツボに息が入っていないのかもしれません。
楽器のツボとは、なんとも抽象的な表現なのですが、僕は楽器が振動しやすい息の流れが作れているかどうかだと思います。
この振動しやすい流れを確認する方法としては、まずピストン1〜4まで(3までしかない人は3まで)すべて押した状態で、思いっきり吸った空気を、音は鳴らさずにすべて吹き込みます。
最初のうちはすべて吐ききるまで時間がかかりますが、何度かおこなうと少ない時間で息をすべて楽器の中にいれることができるようになっていきます。
僕はこの練習をしたあとに低い音を吹くと、楽器のツボにハマり、いままでよりも音量がしっかりと出しやすくなりました。
【番外編】ユーフォソロ曲に出てくるめっちゃ低い音
ここからは、番外編ですがユーフォのソロ曲を吹いているとたまーにめっちゃ低い音出てきません?
例えばこの楽譜の最後の音なんかとても低いF!しかもppp!
(ちなみにこの曲を作曲したのは紛れもなく僕です。)
洗足学園音楽大学のYouTubeに演奏動画が上がっているのでもしよかったら見てね。(以下、再生するとちょうど上記の部分から再生されます)
この低い音、作曲しておきながらなんなんですが、実は長い間ずっと出ませんでした。
(じゃあ書くなよ!といわれてしまいそうですが、僕は結構挑戦することが好きです。笑)
この音を出すコツとしては、口をへの形にすることです。
へっ!?って感じだと思いますが、唇の両端をロックしてアパーチュアを広くする、の延長線です。
両端をロック、アパーチュアを広く、更に広くするため口をへの形にしてより唇が大きく振動できるようにします。
おわりに
低い音、僕自身とっても悩んできたことですが、実は低い音をたくさん練習することにより、豊かな低音が鳴らせるようになったのはもちろん、音色のコントロールもしやすくなりました。
息をコントロールすることで、低音だけではない様々な奏法のコントロールがしやすくなり、演奏もきっと楽しくなっていきますよ。
しかし、低音はコツを掴むまでが大変なのも事実。
少しやってみて「できない!」ではなく、昨日よりも少しでもできるようになったことに注目しながら練習してみると、楽しみながら上達していけるはず。
少しずつトライしてみましょう。