タンギングが遅いときにきっかけになった大きなヒント

僕は長い間、タンギングがとても苦手でした。

レッスンをたくさん受けると、

「ゆっくりから練習していけばいつか早くなるよ」
「息のスピードをあげればいつかできるようになるよ」
「口でしゃべれれば大丈夫」

と、タンギングが上手になるための、いわゆる定番のアドバイスをもらうばかり。当時中学生からタンギングに苦手意識があった僕は、アドバイスを真剣に受け取り、真面目に真面目に練習してきたつもりでした。

が…

一向に速くなりません。

今になって思えば、これらのアドバイスは自分には合いませんでした。ですが、当時は自分で考えて試行錯誤することができていなかったんです。

いっときはあまりにもタンギングができなさすぎて、「舌のつくりが人と異なっているのでは?」と疑ったりもしましたが、僕に足りなかったのは口の中の狭さでした。

これに気づくのに僕は7年弱かかりました。

目次

タンギングの仕組み

タンギングとは、舌の動きで一時的に息をせき止め、音の出だしを明確にすることです。

そのため、楽器で音を出すということ自体は、タンギングをしなくてもできます。

やはり、楽器を吹くのは息の力であり、タンギングはその補助ということですね。

この「タンギングは息の補助」という言葉はもちろんあってはいるのですが、あまりにも「補助」という言葉のみを捉えすぎてしまうと、「息さえ出てれば、タンギングなんてすぐにできるよ」というアドバイスが生まれてしまうのかもしれません。

これ僕も言われた事あるのですがすごく困りますよね?

「いや、だって息は出してるし…。」

もちろん、息のスピードはとても大切なのは事実です。しかし、闇雲に思いっきり息を吐いても僕のタンギングは遅いままでした。

しかし、とある指摘が僕の運命を変えます。

ポイントは口の中の狭さ

「口が広すぎる」

初めて指摘されました。

え、だって口の中って広いほうが響きが出ていいんじゃないの…?

そう、口の中の広さなんて考えたことがなかったのです。

口の中の広さを狭くすることで、タンギングは劇的に速くなりました。

口の中を狭くすることで息の通り道を作る

僕がなぜタンギングが遅いのか、原因を分析してみました。

口の中が広い
→息の通り道がでかい
→舌の動きを大きくしないと息の通り道が塞がらない
→結果的にとんでもなく大きい舌の動き
→タンギングが遅い

こんな流れです。

つまり、口の中を狭くすると…

口の中が狭い
→息の通り道が細い
→下の動きが小さくても息の通り道がしっかり塞がる
→結果的に超ミニマムな舌の動き
→タンギングが速い

という流れになるわけです。

この考え方ができるとタンギングはみるみる速く、そしてはっきりとできるようになっていきました。

舌を当てる場所はあまり関係ない

「舌を当てる位置」もタンギング・アドバイスのあるあるですね。

よく言われるのが「上の前歯の裏に舌の先をつけると良い」というアドバイス。

しかし、これが僕には最悪でした。

というのも、僕の前歯は少し歯並びが悪く、ここに舌を当てると息の通り道が塞がらず、言葉にするのがとても難しいのですが「tさぁーーー」みたいなタンギングになってしまいました。

このアドバイスが抜けずに苦労していたのですが、よくよく考えてみると、

息の通り道さえしっかりと塞がれば、タンギングになるんじゃね?

という考えにいたります。

これがドンピシャで、息の通り道を塞ぐことだけを考えた結果、僕の場合は歯と上あごの付け根くらいがちょうどよかった。

舌の位置は見えないからさ

金管楽器のレッスンは、ほとんどが人間の体内で行われている動作のゆえ、少し言葉を間違えるととんでもない方向に行きがちです。

例えば、言葉は「口の中を広く」と言っていても、この「広さ」は人それぞれ。

タンギングの舌の場所アドバイスも、もしもらったときには自分なりに噛み砕く必要がありそうです。

唇とマウスピースの密着も大事

タンギング練習で、楽器(マウスピース)を離して、口では速くトトトトトとタンギングできるのに、楽器をつけた途端、遅くなってしまう…

これ、唇とマウスピースがしっかりと密着していないせいかもしれません。

唇とマウスピースが密着していないと、せっかくタンギングした息が唇のバジングとして反応せず、ボソボソした息になってしまうことがあります。

タンギング練習に集中するあまり、唇とマウスピースが離れてしまうのもよくあること。

唇とマウスピースをしっかり密着させることで、タンギングのエネルギーを余すことなく伝えることができます。

ときにはダブルタンギングの活用も

ここまでシングルタンギングの話をしてきたつもりですが、実はダブルタンギングはそこそこ得意でした。(シングルタンギングができなさすぎて、ダブルタンギングでほとんど乗り切っていたため)

しかし、合奏などで「ここは全員シングルで」と強制されてしまうこと、ありますよね。

こんなとき、クソ真面目な僕は、「シングルができなきゃだめだ」と自分を責めて責めてなんとかやっていました。

ですが、よく考えてみてほしいのです。

なぜ「シングルで」揃えるのか。

揃っていたほうが美しいから、ですよね。

つまり、一人だけダブルタンギングだとしても美しく揃えられれば問題ない、ということです。

もちろんわざわざ「俺はダブル〜!」と公言する必要はありませんよ?笑

現にプロのユーフォニアム奏者の方のタンギングを近くで聴くと、ダブルもシングルもとても美しく、本当にベルの真横で聴いてもどちらがシングルかなんてわからない程でした。

もちろん、シングルができるようになるのに越したことはないですが、それに悩みすぎて音楽が楽しくなくなってしまうくらいなら、ダブルタンギングの活用も考えてほしいです。

おわりに

僕の場合、タンギングが速くできるようになるまで、とても長い時間がかかってしまいました。

それは、仕組みを知らなかったことと、口の中は広いほうがよい、と信じ切っていたことが原因です。

長い間「口の中は広い方がよい」と信じ切っていたことで、「口の中は狭いほうがタンギングがやりやすい」という考え方を知ってからも、気がついたら口が広くなってしまったり、マウスピースを口につけるまでは平気だったものが、いざ吹こうとすると口の中が広くなってしまったりと、本当に大変でした。

この記事が、昔の僕のように悩んでいる方の参考になれば、とてもうれしいです。

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この記事を書いた人

1999年、長野県出身。
ユーフォニアム奏者、作編曲家として活動中。

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