「蛍のいた川」バリ・テューバ四重奏の楽譜を販売開始しました!
以下よりご購入いただけます。

今までにユーフォニアムソロ版、トロンボーン×2、ユーフォニアム、テューバ版も出版しております。
曲を書いたきっかけ
この曲を最初に書いたのは、今から4年前の2020年7月、僕が大学2年生の時です。
ある演奏会で「曲を書いて欲しい」との依頼で書くことに至りました。
曲名の「蛍のいた川」とは、その依頼していただいた方からのお話で決めました。
ちょうど依頼をいただいた頃はコロナがまだまだ収まっていない頃。音楽業界もとてつもない大ダメージを受けましたがなんとか時間を短縮したり、総座席数の半分での開催ならなんとかコンサートを開ける、そんな状況でした。
きっかけは依頼していただいた方がたまたま川で蛍を見たことに始まります。
そこにいた蛍は数百匹から数千匹ほどのとても多い蛍が飛んでいたとのこと。また見たいと思い、2週間後くらいにもう一度同じ川に行ってみたそうです。
しかし、もうそこには蛍の姿はほとんどありませんでした。
調べてみると、蛍は成虫になってからおよそ2週間ほどしか生きられないことを知ったそうです。
この話から曲を作って欲しいと依頼を受けました。
恥ずかしながら僕はこの依頼を受けるまで、蛍の寿命がそんなに短いことを知りませんでした。
あっという間の命。
その間、蛍はどんなことを考えて生きていたんだろう。
僕が過ごす2週間とはきっと比べ物にならないくらい、濃い時間を過ごしたんだろうな。
そんなことを考えながら曲を書き始めました。
もう一つのはなし
僕は曲を書くときは決まって外に出かけます。
作曲をする人の中にはピアノの前に座ってがっつり書く人もいると思いますが、僕の場合はそんなことをするとなんだか煮詰まってしまって何も思い浮かびません。
実は車に乗ることが大好きなので、よくドライブ中に作曲したりもしますよ。
思いつくときは車に乗っていたり、歩いていたりと色々ですが、思いついた瞬間にボイスメモに入れておきます。
歩いているとき急に思いつくので、周りから変な人に思われないように気をつけながら小声で歌います(笑)
そんなこんなで少しずつ書き進めていた頃です。
実はうさぎを家で10年ほど飼っていたのですが、この曲を書いた頃に少しずつ具合が悪くなり、亡くなってしまったのです。
これが僕にとってはとても辛い出来事でした。
僕が小学生の頃からずっと一緒だった、もはや家族も同然です。
たくさん一緒に遊んだ思い出、学校で嫌なことがあって話を聞いてもらったこと、それでも君の可愛い仕草に何度も助けられたこと。
たくさん、たくさん思い出しました。
でも、もう2度と帰ってこないのです。
悲しくて悲しくてどうしようもありませんでした。
それと同時に、「命って、いつかなくなってしまうんだなあ」と自然の摂理に悔しい気持ちと、情けない気持ちと、どうしようもない気持ちで胸がいっぱいになったのをよく覚えています。
この「蛍のいた川」には、実はそんな僕のやるせない気持ちも込めています。
そんな小さな願いが、少しでも空に届くように、この曲のメロディは最後、上に上に、上がっていくように終わっていきます。
おわりに
この曲はおかげさまで、今回発売したバリ・テューバ四重奏の他にユーフォソロ+ピアノや、他の編成でも演奏機会をたくさんいただき、演奏してきました。
その度に、「命」というものの儚さ、今過ごせるかけがえのない時間を大切にしていこうと思います。
ぜひ、お手に取って演奏していただけたら幸いです。
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