「蔓(かずら)」/作曲依頼作品の紹介

こんにちは、石倉です。

2022年冬頃に、僕の大学の同期でもあるサックス奏者の米田諒士君と、岩城玄仁君に作曲依頼をいただきました。

その作品がYoutubeにて公開されているので、紹介します。

目次

作品動画

作曲のきっかけ

米田諒士君と、岩城玄仁君は洗足学園音楽大学での同期。
実は、米田君は僕が作曲を本格的に始めたばかりの2019年ごろから何曲も依頼をしてくれて、この作品が3作目になります。

作曲依頼を何度もいただけるなんて本当に嬉しい限りです。

いつもはなんとなくのテーマを曲にしてほしいとお願いされることが多いのですが、今回は「腐れ縁」を表現してほしいとのこと。
詳しく聞いてみると、米田君と岩城君は高校、大学とずっと同じなんだそう。

そんな「腐れ縁」を表現してほしいとの依頼でした。

最初は「腐れ縁」の表現をどうしようか、めちゃくちゃ悩んだのをよく覚えています。
そのまま「腐れ縁」をテーマにしてもいいんだけど、なんか一捻り欲しいんだよなあ…。

なかなかアイデアが出ない時、僕はよく散歩をするのですが、ぱっと目に入ってきたのがつる植物のつるです。

根から生えたつるが他の木に絡みついたり離れたりを繰り返しながら、太陽に向かって伸びていく様子。
「腐れ縁」を表現するのにぴったりだなと思いました。

そこから構想を練り、当時の僕の作曲テーマであった「伝えたい景色をあえてぼわっとさせる」感じで仕上げたのが「蔓(かずら)」という曲になります。

ちなみに蔓(かずら)とはつる草のことを言います。

伝えたい景色をぼわっとさせる作曲

この曲には頭に残るようなメロディラインが出てきません。

なぜそうしたのかというと、この蔓(かずら)という曲にとって、頭に残るようなメロディラインは景色が強く見えすぎてしまうと思ったから。

もっと霧に包まれてて、そこにあるものが何なのかわからない様子を描きたかったんです。

そのためには、あえてメロディラインを濃くせず、曲全体の雰囲気を楽しんでもらう曲にしたい。
そんな思いから作曲した結果、僕の作品の中では少し珍しい現代曲チックな曲風になりました。

曲の聴いて欲しいポイント

この曲には調性がほぼ存在しません。

いつも僕が作る曲だと、調性というのは景色を表す重要な役割をしているので、とてもこだわるポイント。

でもあえて調性のない無調音楽にしたのも、景色をぼわっとさせるためなんです。
無調音楽にすることで場面場面の色がにじんでいる感じを表現しました。

ところが。

曲の最後に一度だけ、明るい変ト長調が現れます。(4:32〜)

この部分がお互い絡み合っていたつるの目指す場所です。
つまり空に向かって伸びていた、目指していた先である太陽の光。

この部分をぜひ聴いてほしいなと思います。

(4:00くらいから再生されます。)

おわりに

蔓(かずら)という曲は、僕にとって挑戦の曲でもありました。

今まであまり書いたことのない曲風、それが現代曲風になっても、楽しんでもらえる曲にしたい。
そんな思いで書き上げました。

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