こんにちは、石倉です。
先日、自分にとって大きくプレッシャーのかかる本番がありました。
その本番では、たくさんのお客さんが入っていて、かつ本番中の音が記録されるというもの。
本番一発勝負のレコーディングのようなものです。
たとえ記録されない本番でも緊張するのに、自分の音が残される…と考えると、緊張度はとても上がります。
そんな中、言われた一言。
「音を外さないように」
怖いですね、怖すぎます。
「音を外さないように」からのフラッシュバック
本番の前に言われたのは、「音を外さないように、しっかり頼むよ」という内容の声かけ。
もちろん、あまりにもミスが多いのは良くないのかもしれません。
でも、そんなのわかりきっています。
もちろん、「そんなの言われたって気にしないよ!」という方もいるかも知れませんが、僕は昔から言葉を軽く流すということができず、真面目に受け止めてしまう性格でした。
だから、「音を外さないように」と言われると、今までに大事な場面で音を外してしまったこと、上手くいかなかったこと、全部フラッシュバックしてしまいます。
楽器を演奏している方、特に金管楽器を吹いたことがある方には共感してもらえると思うのですが、音が外れる現象って、全部が全部理由がわからないことも多いですよね?
ほんの数ミリいつも吹いている位置から口がずれたりしたら見当違いな音が出るし、ほんの少しでも唇の振動が違えば違う音が出る…。
金管楽器とはそのような難しい一面を持っています。
それこそ、僕はユーフォニアムを始めて15年になりますが、それこそ15年やっていても、大事な場面で音を外してしまうこと、多々ありました。
その度に恥ずかしい思いをしたり、その場から消えたくなってしまったり⋯。
もちろん、経験を積めば外す確率というのは下げられますが、絶対に何があっても外さなくなる、というのは無理です。
(周りのプロの方でも、絶対に外さなくなった!なんて言っている方には出会ったことありません。)
そこまでわかっていても、「音を外さないように」と言われると、僕の場合、体は震えるし固くなってしまうし、とてもしんどくなってしまいます。
先日の本番でも、言われた直後からひどく体が硬直してしまいました。
対処法「音楽に集中」
僕は今まで色々な場面で「音を外さないように」と言われてきました。
それは、学生時代の合奏から、卒業後のレコーディングの現場など様々です。
言われる度に、とにかく体が硬直してしまい、演奏どころではなくなってしまっていました。
しかし、それでも音を出さなければいけないし、自分にとって健康的に音楽はできないかと考えることに。
そして、今でも使っている一つの対処法を過去に思いつきました。
それは
音楽に集中するということ
当たり前のようですが、とても大切なことです。
「音を外さないように」と言われたとき、僕はとにかく、「音を外しちゃダメだ、音を絶対に当てなきゃ」と音を当てることしか考えていませんでした。
でも、音楽は音を当てることがすべてじゃないんです。
もし仮にそうだとしたら、コンピュータで作った音源を流したり、超高性能ロボットに任せればいいですよね?
でも、ここまでコンピュータが発達した現代でさえも、レコーディングの仕事は人間がやっています。
それはなぜなのか。
答えは、「感情」というものを、音楽に「表現」としてのせることができるのは、人間しかできないから。
僕はそう思っています。
つまり、音楽の本質である、音を届けること、音を楽しむこと。
それ以外一切考えられないくらい「音楽」のことだけを考えると、僕の場合は自然と「音を外さないように」という言葉を忘れて、演奏に集中できるようになりました。
「音を外さないように」と考えすぎるのは、「音を外すこと」を鮮明にイメージしているのと同じです。
そんな事を考えながら、普段通りの演奏なんてできるわけないですよね。
なので、そんなことが気にならないくらい、「音楽」に没頭してしまおうというわけです。
誰かに指摘するなら「〇〇しよう」に変換
楽器を演奏したことがある方なら、誰もが一度は「音を外さないように!」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
それは指揮者であったり、先輩であったりしますよね。
でも、ここで考えてほしんです。
音を外したいと思って演奏する人なんて、果たしているのでしょうか。
僕は今まで色々な方々と演奏する機会があり、お話を聞いてきましたがそんな方は誰一人いませんでした。
つまり、「音を外さないように」という指摘は、全く意味がないんです。
そんなこと、みんなわかっているのですから。
だからもし、これを読んでくれているあなたが誰かに指摘する場面が来たら、「音を外さないように」を具体的な「〇〇しよう」というアドバイスに変換してほしい。
例えば、「音をイメージしてその音にあった息にしてみよう」とか、「音の高さに対応するアンブシュアを作ってみよう」などです。
このように、具体的なアドバイスにすることによって、ただの不安を煽る言葉から、演奏者にとって力に変換できる言葉になります。
おわりに
今回の本番は、「音楽に集中する」という対処法を使ってなんとか乗り切りましたが、過去には、「音を外すな」と言われて、しっかり外してしまった本番もありました。
それこそ1回や2回ではありません、何度もあります。
その度に、死ぬほど悔しい思いをして、楽器を吹くのすらきつくなって、なんとかもがく中で生み出したのが「音楽に集中する」ということ。
もし、「音を外すな」という言葉に苦しめられていたら、その言葉を忘れてしまうくらい、音楽に没頭できるように挑戦してみてください。
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