こんにちは、石倉です。
僕は楽器を始めてから長い間、「演奏が楽しい」という気持ちより「うまくいくか怖い」という気持ちが強かったんです。
そんな気持ちをいろいろな先生に相談してみても、「何回も本番を経験すれば慣れる」とか、「死ぬほど練習をするとできるようになる」とか、「緊張はドキドキと一緒だから楽しもう」など、どれも素晴らしいアドバイスなのですが⋯
当時の僕にとっては何を試してみても「演奏が怖い」という気持ちが勝ってしまっていました。
演奏が怖いという気持ちが強かったのは高校生から浪人を経て大学生の頃までですが、今現在も多少なりとも怖いという気持ちはあります。
ですが、最近分かったのは演奏が怖いという気持ちがあっても、イコールすべてうまくいかないというわけではないということ。
演奏が怖いという気持ちを持っていても、自分がやるべきことに集中すれば、うまくいく可能性をあげることは十分できるんです。
「演奏が怖い」の正体
「演奏が怖い」の正体は一体何なのでしょうか。
・ミスが怖い
・人からどう思われるのか怖い
・練習の成果が出なかったらどうしよう
・うまくいかなかったら責められるんじゃないか
色々な思いがあると思います。
この中でも僕が特に強く思っていたのは、「人からどう思われるのか怖い」という気持ち。
楽器を始めた初心者の頃は、正直全くなかった気持ちです。
それが、練習を何度も重ね、経験年数が増えていくごとに少しずつ人からどう思われるのかが怖くなってきてしまいました。
きっと経験年数が増えるにつれて少しずつ褒められることも増えてきたことで、変なプライドや「下手に思われたくない」という見栄のような気持ちが出てきてしまったのだと思います。
高校生の頃は、1日平日授業がある日でさえ8時間は吹いているくらいとにかく練習していましたが、今考えるとその原動力は「上手くなりたい」より「下手と思われたくない」の方が強かったのかもしれません。
「演奏が怖い」を0にしようとして失敗
過去には、「演奏が怖い」という気持ちを抱くのは良くない!と自分で決めつけていた時期がありました。
練習すれば消えるはず、音楽に集中すれば消えるはず、演奏が怖いなんて邪念を抱く時点で集中できていない証拠だと自分を何度責めたことか…。
演奏前に怖いと思ってしまったら、なんとかしてその怖い思いを消すを繰り返していましたが、怖い思いをなくそうと思えば思うほど余計に怖くなってしまい、結果怖い気持ちに飲まれてしまうということを、高校生の間はとにかく繰り返していました。
「演奏が怖い」思いを抱いたまま臨んだ本番
高校生の頃から、大学生にいたるまでとことん「演奏が怖い」思いに悩んでいました。
もちろん、何度も本番を出ることで多少は緊張に強くなったかもしれません。
しかし、小学歳の頃からユーフォニアムを始めて、今現在にいたるまで約15年、様々な演奏会に出演してきた僕ですが、いまだに「演奏が怖い」という気持ちを全く抱かなかった本番はないんです。
つい先日も、僕の中でとても大きな本番がありました。
しかも、ハイトーンは多いし、目立つソロも多いしかなりハードな本番。
失敗は許されないというプレッシャーを感じながら、また「演奏が怖い」という思いを抱きながら本番に臨みました。
怖くても、目の前に集中
怖い思いはたくさんありました。
本番のステージ裏では人からどう思われるか怖い思いで押しつぶされそうに。
でも、ふと我に返った瞬間、考えてみました。
・怖い思いは演奏に何かプラスになるのか
・そんなに怖がっているけれど、僕が失敗したことで誰かから危害を加えられることはあるのか
いろいろ考えてみたのですが、怖い思いがあるときって体が震えたり、演奏に集中できなかったりしますが、演奏にプラスになることはほぼないですよね。
しかも、たとえミスをしてしまったところで死ぬわけじゃありません。
そう思ったら少し腑に落ちて、目の前のことに集中する気持ちになれました。
・どんな音を出すのか
・そのために体をどう使うのか
・唇のどこをどのくらいの力で動かして、息はどのくらい使うのか
と、演奏するうえで必要な動きのみを考えるくらいの気持ちで演奏しました。
そして、目の前のことに集中する気持ちだけを大切に、「演奏が怖い思い」は消そうとすることをやめました。
すると、「怖い」という気持ちに飲まれてしまうことなく、集中して演奏を終えられたんです。
もちろん怖いという気持ちは完全に0にできるわけではありません。
しかし、今までずっと怖いと思うこと自体が駄目なんだと思い込んでいた僕にとって、怖いという気持ちを0にしなくても演奏に集中することができたというのが大きな経験でした。
仮に頭の中が怖いという思いに満たされそうになっても、それを0にするのではなく、目の前のことに集中することにエネルギーを使ったほうがよほど健康的ですね。
おわりに
「演奏が怖い」という気持ち。
僕の場合は経験を積めば積むほど出てきてしまった気持ちでした。
怖い思いを消そうとしても、失敗してしまった過去。
今回の本番では、怖い思いを消すことを諦めることに。
その結果、本来集中すべきことに集中でき、音楽に集中した演奏をすることができました。
もし演奏するときに、「演奏が怖い」という思いがあっても、
目の前のことに集中することで切り抜けられるかもしれませんよ。
是非試してみてくださいね。
それでは、今日も楽しく練習していきましょう。
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