こんにちは、石倉です。
楽器を演奏している方は今までに「本番」というものを何度か経験してきたと思います。
僕も、ユーフォニアムの本番、ピアノの本番、ギターの本番や作曲の本番など色々な本番を経験してきました。
今までの練習成果を出す本番、できることなら自分ができるベストを尽くしたいですよね。
ところが本番というのはとても恐ろしいもので、リハーサルでは一回も起きなかったようなことが起こることも珍しくありません。
今回は僕が今までに経験してきた本番の中で1番ヒヤッとした本番、暗譜のソロコンクールで出だしの音がわからなくなってしまった話をします。
自分にとって大切なソロコンクール
今回の話は高校生の頃の話です。
大問題が起きてしまったソロコンクールは、僕にとって大切なソロコンクールでした。
というのも、このコンクールは各楽器がごちゃまぜになって戦い、最終的には中部日本で誰が1番かを決めるコンクールです。
各学校代表者2名までを選出し、他の学校の代表者とソロを競うというものでした。
毎年、部活の中でも特に優秀な人が選ばれ、頑張っている姿を見て、僕も先輩になったらこのコンクールに出たい!と意気込んでいたコンクール。
県大会を突破すると、中部日本の本大会に出れるというものでしたが、本大会に進み、総合1位を獲るつもりで練習を重ねました。
絶対にミスなしレベルまで練習
暗譜指定などはないコンクール。
でも、音楽を自分のものにするため、少しでも審査員にアピールをするために全て暗譜するまで練習しました。
このコンクールにかける思いはとても大きかったので、少しでも隙間があれば練習、練習の日々。
その時演奏した曲は、フィリップスパーク作曲のfantasyという曲。
この曲は「ソドドシド」という音形がとても特徴的な曲ですが、僕があまりにも練習しすぎていたため、同じ部活のみんなはこの曲をほぼ歌えるようになっていました。
それでも、暗譜に不安がなかったわけではありません。
暗譜というのは楽譜を見ないということ。
本番何かの拍子にふっと忘れてしまうことがないよう、何度も何度も練習します。
それこそ、お風呂に入っている時、トイレに入っている時、ご飯を食べている時、日常の使える時間全てにおいて頭の中ではこの曲を歌っていました。
そうしているうちに少しずつ自信がつき、本番に向けて怖い気持ちは減っていくことに。
本番突然音がわからなくなった
いよいよ本番の日。
起きている時間ほとんどコンクール曲のことを考えていた僕は、とても自信を持っていました。
本番前のステージ横でも、ピアニストの方に最後挨拶をしてしっかりステージに向かっていきました。
「結構時間がカツカツだから、最初の礼はいらないよ、セッティングができたらすぐに吹き始めて!」
そんなふうに言われていたので、早速楽器を構えて出だしの音を吹こうとします。
「あれ、何の音から始まるんだっけ」
はい、ど忘れしました。
コンクール用に少しカットしたため、僕が吹き始めないと曲が始まらないようになっていたんです。
なのに、ど忘れ。
やばいやばいやばい。
めちゃくちゃ焦りますが、頑張っても出てこない!
時間だけが過ぎ去っていきます。
それで、焦った僕は「もうどにでもなれ!」と最初の音がわからないにも関わらず、音を吹き出してしまいました。
すると…。
あれだけ練習した成果でしょうか、体が覚えてくれていたみたいで頭ではなーんにもわからないのに、口も体も勝手に動いて曲が演奏されるというなんとも不思議な体験。
本当に怖い体験でした。
本番は何が起こるかわからない!
結果的には謎の出だしに謎の空白を作ってしまっただけ(?)にとどまりましたが、これは僕にとってトラウマ級の怖かった記憶です。
あれだけ練習しても、こんなことあるんだ…と本当にびっくりしたのを覚えています。
でもこの経験は、「本番は何があるかわからない」という言葉を、身をもって知ることになりました。
リハーサルでは一回もミスしない人が珍しくミス、本番まであんなに完璧に吹けていたのに本番だけボロボロに、本番に限ってバチを落としてしまうなど、色々な話を聞く機会がありますが、まさに「本番は何が起こるかわからない」に尽きます。
できることはありとあらゆる想定をすること
何事もそうですが、「絶対」というのはありません。
絶対外さない、絶対合う、絶対ミスしない。
そんなのは人間である限り不可能です。
だから、本番中何が起きても慌てないように、考えうるありとあらゆる想定をしておくこと。
もし何か起きても動じないこと。
僕は今回の恐ろしい体験があってからこの二つを意識しています。
本番は一回しかない、たとえミスをしたとしてもすぐに過ぎ去っていって後戻りはできません。
だから、何かあったとしてもクヨクヨせず、今できるベストをやり続けることが大切なのではないでしょうか。
おわりに
この怖い経験、僕にとっては本当にトラウマ級で、この後の暗譜のコンクールのたびに、悪夢のように毎回思い出しています。
でも、この経験があるからこそ、練習中は常に最悪の想定ができるようになったし、本番中たとえ何かあったとしても、なるべく動じずに演奏に集中できるようになりました。(多少はまだ動じてしまいますが…)
本番。
大きなミスや失敗をしてしまうととても怖いものですが、本来はお客さんに自分の演奏を聴いてもらえる素晴らしい機会。
少しでも本番を楽しめるようになっていけるといいですね。
それでは、今日も楽しく練習していきましょう。
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