本気で挑んだオーディションに落ちてメンタルぶっ壊れた話

こんにちは、石倉です。

 

最近、アンサンブルコンテスト(通称アンコン)のシーズンということもあり、パートレッスンに行っている学校で誰がアンコンに乗るのかを選抜するテスト、いわゆる「オーディション」が行われることが多くなってきました。

 

たまに審査員をさせていただくこともあるのですが、学校の生徒に「先生はオーディションとか落ちたことないんですか?」と質問されることも。

 

 

 

 

オーディション、もちろん今までに落ちたこと、何回もあります。

 

その度に死ぬほど嫌な思いとか、屈辱的な思いをたくさん味わってきました。

 

今回は僕が人生で初めて本気で挑んで本気で悔しい気持ちになった、オーディションの話をしたいと思います。

目次

高校1年生 初めての本気オーディション

小学校、中学校と吹奏楽部に所属していたので、オーディションというものを経験したことはもちろんありました。

 

ただ、その頃は明確にプロになりたい!と思っていたわけではなく、どれもそこまで本気で挑んだわけではなかったんです。

 

 

 

しかし、わざわざ音楽科のある高校を選択したのは、プロになると決心したから。

何が何でも一番になってやる!という強い思いを持っていました。

 

 

高校に入学してから初めての夏の吹奏楽コンクールが終わり、3年生が引退したあと、1,2年生のみで出場するコンクール「中部日本吹奏楽コンクール」というものに出ることに。

このコンクールに出場できる人数制限があったんですが、1.2年生の人数を足すとギリギリ収まりきらないといった人数だったため、オーディションで選抜することになりました。

 

つまりどういうことかと言うと、5,6人のみ落ちる。そんなオーディションです。

 

 

その時ユーフォパートは僕を含めて全員で3人。

僕以外は2年生の先輩でした。

 

何としてでも受かってやる。

 

僕は必死に練習を重ねました。

もちろん、先輩を蹴落とすつもりで。

悲劇は突然訪れた

オーディションはパートごとに呼ばれ、一人ずつ演奏していくスタイル。

 

 

とても緊張しましたが、自分の精一杯の演奏をすることができ、しっかりとやり切ることができました。

「いい演奏もできたし、落ちるわけない。落ちる数人に選ばれるわけない!」

自信大アリでした。

 

 

 

 

そして結果発表の時。

パートごとに呼ばれ、名前が発表されます。

 

 

 

 

「ユーフォパートは〇〇(先輩の名前)、そして〇〇(先輩の名前)。以上!」

 

 

 

 

 

 

え。。。

 

 

 

 

 

 

なんでなんでなんで。ありえない。

あんなに練習したのに。

なんで落ちるの。

 

 

「落ちた」という衝撃で、目の前が真っ暗になって、自分が立ってるのか座ってるのかすらよくわからなくなってしまいました。

よくアニメで目の前の景色が渦を巻くようにぐるぐる動くような描写がありますが、あれ本当に見えるんだってこの時思ったのをよく覚えています。

 

 

その間、先生は僕のことを「とてもよく頑張っている」と褒めてくれていたみたいですが、そんなのもうどうでもよかった。

ただただ、演奏したかった…。

これにつきます。

 

 

 

このオーディション、実は本番3日前に行われました。

次の日には、コンクールの場所近くで練習した後に泊まり、次の日本番というドタバタのスケジュール。

 

結果発表の後は、次の日からの練習とコンクールで使う打楽器をトラックに積み込む作業、いわゆる「積み込み」がすぐに始まりました。

 

 

上下関係が厳しく、「積み込み」のときは1年生がしっかり動かないと怒られてしまう。
そんな部活だったのでつらい気持ちの中必死に動きましたよ…。

 

自分の感情を抑えられずに、号泣しながら打楽器を運んだのをよく覚えています。

屈辱的な本番前日

その日は最悪な気持ちで眠りにつき、次の日は最悪な気持ちで目覚めました。

 

本来だったら、本番にむけてワクワクした気持ちでいられたはずなのに。

全然行きたくない…。

 

 

そんなことを考えながら、バスに乗り込みました。

みんなで目的地に向かうバス。

 

コンクールに乗れないのはたったの5人ほど。

車内はそんな数人のことなんて気にもせず、これから本番というムードにつつまれていました。

 

 

吹奏楽部あるあるのバスの中でコンクール曲を歌い続けるというのも、もちろんやりました。

「本番乗れないのに、なんで歌わなくちゃいけないんだよ…」

 

バスから飛び降りてしまいたい気持ちでした。

 

 

その後、本番前日の合奏が始まるのですが、なぜか基礎合奏だけ参加させられ、本番の曲が始まる前に「みんなの演奏を客席から聴いて!」と客席に行かされました。

 

本来なら、サポートメンバーとして全力で応援しなくてはいけない立場。

 

でも、当時は僕が心が狭くて、そんなことちっとも考えられませんでした。

 

 

その後も「本番頑張るぞ!」のテンションに、なんとか必死についていくのですが、僕にとってはそれが一番きつかったんです。

本番の結果は…

本番当日、部活を引退した3年生もお手伝いにきてくれて、本番に乗れない僕を含む5名と3年生でみんなのサポートをしていきます。

 

チューニング室、自分の楽器はなし。

初めての経験でした。

 

今思うと、周りの人たちに悪影響を与えるくらい、落ち込んだ表情だったと思います。

 

 

そして本番中。

 

ただただ「つらいなあ…。」そんなことを思いながらみんなの演奏を聴いていました。

3年生の先輩方は泣いている人も。

 

 

 

僕はそこで泣くことはできませんでした。

 

 

 

 

そして、いよいよ結果発表の時。

演奏していないというだけで、こんなにもドキドキしないのかと、自分の冷たさにびっくりした記憶があります。

 

結果は…。

 

 

 

惜しくも1位を取れず。

 

吹奏楽部で目指していたのは1位でした。(1位のみ先の大会に行ける)

 

昨年は1位を取れていただけに、みんなはとても悔しそうな表情です。

 

 

 

「これでようやく『オーディションに落ちた人』から脱却できるのか⋯」
そんなことを僕は思っていました。

 

 

こうして最後はあっけなく、人生最初の本気オーディションは幕を閉じることになります。

もしこの時の自分に声をかけれるなら

もし、今の僕が当時の自分に対してなにか声をかけてあげられるなら…。

 

「そんな自分のことばっかり考えてないで、もっとまわりのこと考えようよ」

「サポートメンバーとして、全力で応援しなきゃダメだよ」

なんて綺麗事は…
正直、言えません。

 

当時の自分には

「今はめちゃくちゃつらいと思う。だから、無理に頑張らないでつらいという気持ちをとことん噛み締めてほしい。
その時の気持ちが活かされる瞬間、今後たくさんあるよ。」

そんな言葉をかけてあげたいです。

 

 

ユーフォを演奏している時、この時のつらい気持ちを表現した場面、たくさんありました。

作曲をしている時、この時のつらい気持ちから思いついたフレーズ、メロディ、たくさんありました。

 

つらい気持ちは、そのときは本当にきついですが、音楽にはめちゃくちゃ活きます。

楽器はレッスンで習えますが、つらい経験だけは欲しいと思っても手に入るようなものじゃありません。

 

本気でがんばった分だけ、いろいろな感情を味わえます。

 

 

僕はこの時、オーディションに落ちるという経験をしてから、オーディションに落ちた人の気持ちが死ぬほどわかるようになったし、つらくて逃げ出したいのにそれでも頑張っている人の凄さも痛いほどわかるようになりました。

 

だからきっと無駄なことなんて何一つないんだろうな。
そんなふうに今は思っています。

おわりに

オーディションに限らず、音楽をやっているとつらい気持ちになる瞬間は必ずと言っていいほどやってきます。

 

特に真剣に打ち込めば打ち込むほど、反動のようにつらい気持ちが増えてしまうことも…。

 

 

「それでも音楽を続けてきてよかった」
なんて綺麗事だけでは到底片付けられませんが、「音楽というものが僕自身を成長させてくれたな」と思う瞬間はたくさんありました。

 

 

つらい気持ちはこのオーディションから10年経とうとしている今も、まだ全然残っています。

 

つらい気持ちは消せるわけではありません。でもそれをどう活かすかはいつでも変えられますよね。

 

 

この記事が少しでもつらい思いをしている人に届いたら嬉しいな、なんて思っています。

 

 

 

 

それでは、今日も楽しく練習していきましょう。

 

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この記事を書いた人

1999年、長野県出身。
ユーフォニアム奏者、作編曲家として活動中。

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