ワンランク上の編曲をするコツ

こんにちは、石倉です。

編曲をしている方、演奏会のために編曲をしているのだけれど、音を出した時になんかいまいちだったんだよね…ということありませんか?

僕は、編曲を始めた頃、自信満々にきちんと完成させたのはいいものの、実際に音を出してみると、「あれ、思ってたのとなんか違うぞ…」となることが多かったんです。

もちろん、経験を積めばいい!と言ってしまえばそれまでなのですが…。

しかし、せっかく編曲をしてみているのなら、少しでもいい作品にしたいですよね?

そのためには、実際の音をたくさん聴いて想像力を駆使することが大切だったんです。

目次

いかに頭の中で解像度を上げるか

現在、作編曲業界では、コンピュータの力を使って楽譜を作ることがほとんど。

昔は手書きの譜面もチラホラありましたが、最近出版される楽譜は、ほとんどが楽譜ソフトを使用した清書済みの楽譜です。

そのため編曲作業というのも、昔はピアノに向かって、実際に音を出しながら紙に書いていくという作業でした。

ところが最近の楽譜ソフトは、打ち込めばそこですぐに音にしてくれます。とても便利な時代になりましたね。

それによって、ピアノを弾くことが少し困難な方でも、簡単に編曲作業をすることができるようになりました。

しかし、この楽譜ソフトには重大な欠点があります。

それは、何でも吹いてしまうコンピュータが音を出すということ

楽譜ソフトは基本的に、どんな音を並べられたとしても、人間のように「それはむずかしいよ!」とか言ったりしません。忠実に音を出してくれます。

それに比べ、人間にはいろいろな限界がありますよね。

ずっと息は続かないし、高い音が連続されると吹けません。

つまり、楽譜ソフトは現実とのギャップが多くあります。

そのため、楽譜ソフト上ではすごくいい感じに聞こえる編曲でも、実際に演奏するといい感じに聴こえないということが起きてしまうというわけです。

これを解決するためには、頭の中で解像度を上げることがポイントです。

解像度を上げるには、実際の音をたくさん聴いて想像力を駆使する

解像度を上げるとは実際にどうやるのでしょうか。

答えは、実際の音をたくさん聴き、想像力を使うことです。

もし、何かの楽団に属していたり、吹奏楽部に入っている人は、他の楽器の音って聴こえてきますよね?

そういったものに入っていない人でも、今は少し検索すればたくさんの動画を見ることができます。

そこで、いままでなんとなく聴いていた楽器の音を、もっと注意深く聴いてみましょう。

その楽器はどんな音域を吹いていることが多いですか?

どんな音域の時に、気持ちよさそうに吹いていますか?

速い連符、長い音のどちらのほうが吹きやすそうですか?

こんなことを注意深く聴いていきます。

僕はユーフォニアム以外の楽器はほとんど吹けませんが、それでも「あの音域大変そう」というのは何となく分かるもんです。

この情報をたくさん頭に入れることで、編曲をする際になんとなく、「これはキツい」というのがわかるようになってきます。

つまり、想像力が鍛えられます。

この想像力が鍛えられていくと、楽譜ソフトでは音になっているけれど、実際にはいい音が鳴らないということを減らすことができるんです。

僕は、編曲を始めた頃想像力のかけらもなく、譜面上ではいい感じの編曲を「できた!」と自信満々に演奏者に配っていました。

ところが想像力のかけらもない僕が書いた譜面は高い音が多すぎて現実的ではないので、演奏はあまりいい音が鳴らなかったんです。

最初のうちは、なぜいい音がならないのかさっぱりでしたが、少しずつ自分の書き方に問題があることがわかってきました。

そこから色々と勉強していくうちに、想像力が鍛えられ、少しずつ吹きやすい譜面を作ることができるようになっていったんです。

今、昔の譜面を見てみると、走者の気持ちなんてこれっぽっちも考えていない、とんでもなく難しい譜面がたくさん出てきます(笑)。

すべてのパートを吹く気持ちになる

最近の楽譜ソフトはとても優秀で、スコアを完成させると勝手にパート譜まで完成させてくれます。

スコアもできて、パート譜も出力させて…よし!おわり!

と終わりにしていませんか?

楽譜ソフトはとても優秀ですが、吹く人の気持ちになると、やや不親切なことが分かります。

譜めくりをしやすくしてあげる

やや不親切なこととは、譜めくり問題です。

演奏をする時に、パート譜を見て演奏します。

その時に、譜めくりポイントがなさすぎて困ることありませんか?

そんなことにならないよう、譜めくりのポイントを作ってあげる。

これだけで、演奏する人から喜ばれる編曲をすることができます。

楽譜ソフトでパート譜を出力するだけだと、譜めくりポイントがなく、やや不親切な譜面になってしまう…。

そこで、ページの終わりには休符(なるべく長い休符)がくるようにレイアウトしてあげると、とても親切な譜面に変わります。

僕の場合は、このことに気づくのがだいぶ遅く、いろいろな奏者にご迷惑をおかけしました…。

編曲に集中していると、できたら早く楽譜を渡したくなってしまうんですよね。

でも、あえてこのひと手間をかけることで、グッと譜面のクオリティが上がるんです。

少しの手間で吹きやすい譜面を目指したいですね。

おわりに

編曲をするからには、少しでも奏者に喜んでもらえる譜面に。

これは、編曲をした人は誰もが思うことだと思います。

編曲はとても大切な作業ですが、それ以上に大切なのはいい音が並ぶかどうか。

ちょっとしたひと手間で、グッとクオリティが上がるので、ぜひやってみてください。

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この記事を書いた人

1999年、長野県出身。
ユーフォニアム奏者、作編曲家として活動中。

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